『無言館にて』

先日長野県の上田市にある無言館へ行ってきました。
そこには画家を志すも出征によって帰らぬ人となった若者たちの作品が置かれています。
画家としては駆け出しの人達の作品なので誰一人有名な人はいません。現在の日本社会では太平洋戦争の話はタブーのように扱われています。とにかく戦争をなかったことにして、豊かさを求め経済発展を最優先に押し進めた60年・・・おかげで僕達は物質的にはとても恵まれた社会の中で生きています。しかし、この豊かさは本質的な幸せに比例するのでしょうか?
僕の周りの20代の子達は、老後の生活を心配して今から小銭を貯めこむ事で頭が一杯です。
そんな子達の話を聞くと切なくてとても悲しい気持ちになります。
夢や希望が持ちにくい社会では幸せや安心を感じることは難しいのではないのでしょうか?
お金や物で幸せや愛をうるおす事は出来ても、それ自体を得ることは決して出来ないと思います。

言葉を使わないメッセージ

常に生死の境目に身を置き続けた時代の画家の卵たちがキャンパスに刻み込んだのは争いによる憎しみや憎悪ではなく、自分の愛する家族や恋人のやさしさにあふれる姿。 画は何も語らないけど僕の目に浮かんだのは、先が見えないからこそ今を大切に一日一日を精一杯生き抜く力強い姿。それは物や情報が溢れ返り周りが見えない現代でも通じる生き方なんじゃないでしょうか。

2011年09月05日
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